梨原郷(読み)なしはらごう

日本歴史地名大系 「梨原郷」の解説

梨原郷
なしはらごう

和名抄」高山寺本・東急本ともに「奈之波良」(ナシハラ)と訓ずる。「日本地理志料」が天平一九年(七四七)大安寺資財帳として「近江ノ栗太郡梨原ノ笠」なる文書を引用するが、現行の「大日本古文書」「寧楽遺文」「大安寺史」などの大安寺伽藍縁起并流記資財帳にはこの個所は見当らず、大安寺資材録抜書(興福寺官務牒疏并付録)にのみ同じ記事がみえる。「枕草子」の「駅は」の段に「梨原、望月の駅」とあり、この梨原駅は「延喜式」兵部省に記されないが、当郷にあったとする説がある岡田おかだ駅が郷名をもって称されたものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報