出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道南西部、胆振(いぶり)支庁(現、胆振総合振興局)管内にあった旧町名(追分町(ちょう))。現在は勇払(ゆうふつ)郡安平(あびら)町の北部を占める地域。旧追分町は1953年(昭和28)追分村が町制施行して成立。2006年(平成18)、勇払郡早来町(はやきたちょう)と合併して安平町となる。旧追分町は米作や酪農を主体とする農村であるが、夕張(ゆうばり)山地と馬追(うまおい)丘陵に挟まれ、安平川と夕張川の分水嶺(ぶんすいれい)になる高台地帯を含み、農業条件には恵まれていない。1970年以後、国営農地開発事業が進み、乳・肉牛多頭飼育、メロン・ナガイモなどの近郊型農業も行われるようになった。従来、国鉄(現、JR)室蘭(むろらん)本線と夕張線の分岐点であったが、1981年に千歳(ちとせ)空港駅(現、南千歳駅)を起点とした石勝(せきしょう)線が開業し、夕張線の一部(追分―新夕張―夕張間)が編入されて本町を通るようになると、道央と道東を結ぶ交通上の要衝となった。しかし夕張炭鉱の閉山(1990)で石炭輸送の中継地としての役割はなくなった(石勝線新夕張―夕張間の夕張支線は2019年4月に廃止)。蒸気機関車などを展示する鉄道資料館がある。国道は234号が通じる。新千歳空港や札幌、苫小牧(とまこまい)に近く、建設資材などの工業も立地する。
[奈良部理]
幹線街道(本街道)から支線街道(枝線街道)への分岐点をいい、そこに発達する集落名にもされる。駄馬や駄牛などを左右に追い分ける意味から転じた。追分は交通者の休息地とされることが多く、茶屋や飯屋が設けられ、さらに商業地や、流通の拠点に発展する場合もある。たとえば、信州の追分(長野県軽井沢町)は中山道(なかせんどう)と北国(ほっこく)街道との分岐点、東京都文京区本郷(ほんごう)の追分は、中山道と岩槻(いわつき)街道との分岐点にあたる。また、鉄道の開通後も、道路交通時代と同じく、幹線鉄道から支線への分岐点となり、近代的市街地として発展を続けている場合も多い。北海道の追分町(JR室蘭(むろらん)本線と石勝(せきしょう)線との分岐点)などがその例である。
[浅香幸雄]
長野県北佐久郡軽井沢町の大字。中山道と北国街道の分れ目の追分は近世の宿名として有名になった。古代には《延喜式》の長倉駅,長倉牧,長倉神社があった地域と考えられ,現地の諏訪神社にある大般若経には1169年(嘉応1)の〈佐久郡長倉郷逐分大明神〉とあるのをはじめ,逐分諏訪大明神,追分諏訪神社と記したものが数多く,古くからの地名であったことが知られる。近世には中山道の沓掛(くつかけ),小田井両宿の中間の宿で,軽井沢,沓掛とともに浅間三宿といわれた。北国街道の基点としては小諸宿へ継ぎ立てた。1838年(天保9)には荷物貫目改所が置かれた。43年には家数103軒,人別712人うち女449人で,食売女(飯盛女)が多かったことを示している。耕地がほとんどなく宿場稼ぎの村で,72年(明治5)の宿駅制度廃止で大打撃を受けた。89年町村制実施によって近村と合併して西長倉村となり,1942年軽井沢町(もと東長倉村)に併合。いまは避暑地となる。
執筆者:児玉 幸多
街道の分岐点をいう。そこまでは一本であった道が二つに分かれ,それぞれ異なる方向に進みはじめるところである。追ってきた牛や馬を,どちらか一方の道に〈追い分ける〉ことから生じた名称と言われている。〈追分〉という地名は今も各地に残されている。その代表例として著名なのは長野県北佐久郡軽井沢町の追分で,中山道と北国街道の分岐点であった。江戸時代,ここには宿駅が設置され,多くの旅人でにぎわった。なお,追分の地名は,目的地を異にする分岐点にのみあるわけではなく,新道が旧道から分かれるところ,あるいは同じ目的地へ向かう幾筋かの道が分かれるところにも残されている。たとえば越中富山から飛驒高山へ向かう飛驒街道の笹津の追分(現富山市,旧大沢野町)はその例で,神通川東岸経由の道と西岸経由の道とが分かれるところであった。
→追分節
執筆者:胡桃沢 勘司
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…江戸浅草阿部川町の名主喜兵衛ほか4人の出願によって1698年(元禄11)に置かれた新しい宿駅である。宿はずれの追分(おいわけ)で青梅街道を分岐し,両者の第1宿を兼ねる。江戸日本橋まで2里(8km足らず),西の次の宿へは甲州道中の下高井戸宿まで2里,青梅街道の中野村まで20丁(2km余)である。…
※「追分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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