日本大百科全書(ニッポニカ) 「棚倉破砕帯」の意味・わかりやすい解説
棚倉破砕帯
たなぐらはさいたい
福島県東白川郡棚倉町付近を通り北北西に走る幅2~3キロメートル、延長60キロメートルの、著しく破砕された岩石が分布する地帯。棚倉構造線や棚倉断層とよばれることもある。この破砕帯の主要な部分は、左横ずれ断層運動によって新生代新第三紀より前に形成されたもので、花崗(かこう)岩などの一部はマイロナイト化している。新第三紀以降もこの破砕帯に沿って左横ずれ断層運動がおこり、横ずれ堆積盆(たいせきぼん)が形成されている。なお、新第三紀より前においては、この破砕帯は、日本の地体構造区分における「東北日本」と「西南日本」を分かつ境界であったという見解が有力である。
[伊藤谷生・村田明広]