日本大百科全書(ニッポニカ) 「横ずれ堆積盆」の意味・わかりやすい解説
横ずれ堆積盆
よこずれたいせきぼん
strike-slip basin
大規模な横ずれ断層に沿って、その一方の側に形成される細長い堆積盆地(堆積盆)。
西南日本の中央構造線の北側に分布する和泉層群(いずみそうぐん)は、中央構造線が白亜紀最後期に左横ずれ運動をしていたときに、その北側に沿ってできた横ずれ堆積盆に堆積した地層とされる。和泉層群の主部は、砂岩、砂岩泥岩互層の卓越する地層であり、堆積物は東から西へ向かう混濁流(乱泥流)によって運ばれている。これらの堆積物は現在、全体として東に傾斜しており、一貫して東側により上位の地層が積み重なっている。これらの東傾斜の堆積地層の厚さをそれぞれ測り積算合計すると30キロメートル以上の厚さになり、この値は日本列島の地殻の厚さに匹敵する。また、これらの地層は、ただ1か所で下から上へ順番に堆積したものではなく、堆積の中心となる場所が、西の愛媛県松山市から東の和歌山市北方の和泉山脈まで、時代とともに徐々に移動して堆積したものとされている。
[村田明広]