日本大百科全書(ニッポニカ) 「森林土」の意味・わかりやすい解説
森林土
しんりんど
forest soil
土壌を植生の大きな違い(森林・草原・砂漠)に基づいて、その生成過程の相違や分類系の大別をする考えに従い、森林土、草原土、砂漠土と類別することができる。森林土は寒帯から熱帯までの多様な森林植生のもとで生成する土壌をすべて一括した名称で、それぞれの気候帯に対応した多くの土壌型が含まれている。寒帯林にはポドゾル性土、温帯林には褐色森林土、熱帯林には赤黄色土やラトソルが生成し、それらの移行帯には中間型の森林土が類別される。
森林土に共通する特性として草原土と大きく異なるのは、土層を浸透する洗浄型の水分によって塩基が流亡し酸性に傾いていること、草本作物を主とする農耕に不向きなことなどである。森林地が伐採され、多年の耕作によって施肥改善など人為作用が働いた場合は、耕地土壌として評価分類される。日本ではその観点から、未耕地の山林は森林土のまま維持され、林野土壌の分類系が適用されている。
[浅海重夫]