ラトソル(読み)らとそる(英語表記)latosol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラトソル」の意味・わかりやすい解説

ラトソル
らとそる
latosol

熱帯から亜熱帯にかけての多雨地方におけるアリット風化(ラテライト化)のもとに、可溶性塩基の大部分が溶脱し、鉄・アルミニウムのケイ酸塩の分解産物としての鉄・アルミニウムの酸化物や水酸化物が土層に集積している土壌。この土壌生成過程が熱帯サバナ気候下で十分に進んだときに生ずるラテライト殻に注目し、そのような風化生成過程をラトソル化作用とよぶようになった。アリット風化(鉄の酸化集積も含めたフェラリット風化という言い方もある)とラトソル化、ラテライト化の呼称はまったく同義ではないが、しかし明確な区別も定義されていない。

 この断面特徴は、深層まで風化作用が及んでいるため土層が厚いこと、高温の条件下で植物遺体の分解が速く表土腐植がほとんど含まれていないこと、風化生成物としての粘土鉱物が鉄・アルミニウム酸化物で着色され、紅土とよばれるように赤みが強いこと、などである。

 世界的な分布域はアフリカ南アメリカ大陸赤道を挟む南北緯10度以内の多雨地方にもっとも集中し、東南アジアではインドネシア全域とマレーシアベトナムに、南アジアではインド、ミャンマービルマ)のそれぞれ熱帯モンスーンおよび熱帯サバナ地域にあり、中米にもメキシコ南部からパナマにかけて分布している。

[浅海重夫・渡邊眞紀子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラトソル」の意味・わかりやすい解説

ラトソル
latosol

熱帯の湿潤気候下の森林植生下に生成した土壌。粘土部分ではケイ鉄礬比,塩基置換容量は低く,粘土の活力は弱く,ほとんどの一次鉱物は存在しない。また可溶性成分もほとんどなく,凝集物の安定度は高く,通常,赤褐色を呈する。ラテライトにほぼ相当し,オキシソル目を構成する。

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世界大百科事典(旧版)内のラトソルの言及

【土壌型】より

… 年間を通じて高温・多湿な熱帯雨林気候帯ないし熱帯モンスーン気候帯に広く分布している成帯性土壌型はラテライト性赤色土である。この土壌はラトソル,フェラルソル,鉄アルミナ質土壌などともいわれ,アメリカの土壌分類体系ではオキシソル目に包含されている。熱帯の高温湿潤な環境条件下では風化されやすい鉱物はほとんど分解されてなくなり,石英のような風化に対する抵抗性の強い鉱物だけが残留する。…

【ラテライト】より

…粘土は酸化鉄,アルミナで被覆されているため粘土の移動,集積はみられない。風化殻としてのラテライトと区別するために,ケロッグC.E.Kelloggはラトソルlatosolと呼ぶことを提案(1949)した。アメリカ合衆国の新分類によるオキシソルOxisols,FAO/UNESCO分類のフェラルソルFerralsolsなどにほぼ相当する。…

※「ラトソル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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