森林理水(読み)しんりんりすい(その他表記)water regulation by forest

改訂新版 世界大百科事典 「森林理水」の意味・わかりやすい解説

森林理水 (しんりんりすい)
water regulation by forest

森林の働きによって,降雨山地にたくわえて洪水抑制したり,反対に無降雨が続いたときに徐々にたくわえを放出し,河川流量の変化を少なくすること。また,森林のもつこうした流量調節の働きを森林の理水機能という。森林が山地からの水の流出を調節するしくみには,樹冠の降雨遮断,地面蒸発抑制,落葉落枝の地表流下抑制なども関係するが,最も大きな要因は,森林土壌団粒構造がもつ孔隙(こうげき)が,浸透能,保水能を強化することと,林木の生理的な水消費にある。森林理水に関する各地の試験結果では,森林はほとんどあらゆる場合に洪水を緩和することが明らかであり,また無降雨時の流出についても,荒廃した土壌のうすい流域よりは,森林によって土壌がまもられている流域の方が流量が豊富であると考えられる。例外として土壌がうすく雨が少ない地域では,森林の水消費のために無降雨時の林地の流量が少なくなる場合がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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