団粒構造(読み)ダンリュウコウゾウ(その他表記)crumb structure

翻訳|crumb structure

デジタル大辞泉 「団粒構造」の意味・読み・例文・類語

だんりゅう‐こうぞう〔ダンリフコウザウ〕【団粒構造】

土壌粒子が小さなかたまりを形成している構造。保水性に富みながら排水性・通気性もよく、作物生育に適する。火山灰土の腐植層にみられる。→単粒構造

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精選版 日本国語大辞典 「団粒構造」の意味・読み・例文・類語

だんりゅう‐こうぞうダンリフコウザウ【団粒構造】

  1. 〘 名詞 〙 土壌粒子の結合状態の一つ。微細な土壌粒子の集合体団粒)に富んだ構造。多孔質で、通気通水が良く植物の生育に適する。

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改訂新版 世界大百科事典 「団粒構造」の意味・わかりやすい解説

団粒構造 (だんりゅうこうぞう)
crumb structure

土壌学用語。個々の土壌粒子が集合して団粒をつくっているもの。団粒構造は土壌粒子がばらばらに存在している単粒構造にくらべ,大小さまざまの孔隙(こうげき)に富み,通気・通水性,保水性にすぐれ,土壌生物の活動も盛んで,植物生育も良好である。団粒の生成には粘土,有機物,カルシウム,鉄,アルミナ,土壌微生物の分泌する粘質物および菌糸,植物根などが結合物質として働いている。ミミズの排泄物はすぐれた団粒である。この団粒構造は有機物の分解,降雨耕耘(こううん)による機械的作用,カルシウムの溶脱,土壌水の凍結融解や乾燥と湿潤の繰返しなどによって崩壊する。団粒構造の維持増進には,有機物や石灰の施用,わら類などによる土壌表面の被覆,牧草作付け,団粒の安定な水分条件下での耕耘,土壌改良剤の利用などの方法がある。団粒の形や大きさは,土壌の環境条件および土壌粒子の粒径組成によって変化する。
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百科事典マイペディア 「団粒構造」の意味・わかりやすい解説

団粒構造【だんりゅうこうぞう】

土壌の微細粒子が集合して微小な塊状をなしていること。孔隙(こうげき)に富み,空気や水の透通性がよく,また水や植物養分を保持する力が大きいので植物にとって好ましい状態である。土壌微生物の活動を盛んにし,養分の供給度を増し,さらに雨水の吸収や浸透がよく行われるので土壌浸食に耐える。植生上,理想的な団粒の大きさは1〜5mm。団粒化促進には石灰,堆厩(たいきゅう)肥,緑肥などを施すほか,マメ科の牧草をとり入れた輪作栽培がよい。→単粒構造
→関連項目チェルノーゼム土壌土壌改良

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世界大百科事典(旧版)内の団粒構造の言及

【森林理水】より

…また,森林のもつこうした流量調節の働きを森林の理水機能という。森林が山地からの水の流出を調節するしくみには,樹冠の降雨遮断,地面蒸発抑制,落葉落枝の地表流下抑制なども関係するが,最も大きな要因は,森林土壌の団粒構造がもつ孔隙(こうげき)が,浸透能,保水能を強化することと,林木の生理的な水消費にある。森林理水に関する各地の試験結果では,森林はほとんどあらゆる場合に洪水を緩和することが明らかであり,また無降雨時の流出についても,荒廃した土壌のうすい流域よりは,森林によって土壌がまもられている流域の方が流量が豊富であると考えられる。…

【土壌】より

…岩石の風化産物そのものは微細物質の凝集体であって,水分や空気は固体の中に閉じこめられ,その構造の中には植物の根が容易に侵入できない。この無機物質に植物遺体などの有機物が添加され,土壌動物や微生物が作用すると団粒構造が生成される。この構造中では土壌粒子のすきまに水分や空気が自由に出入りし,植物の根も容易に伸長して水分・養分を吸収することができる。…

※「団粒構造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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