椿井仏所(読み)つばいぶっしょ

改訂新版 世界大百科事典 「椿井仏所」の意味・わかりやすい解説

椿井仏所 (つばいぶっしょ)

津波井(居)とも書く。14世紀中ごろから奈良地方を中心に活躍した仏所慶派から分かれたと見られ,興福寺内,南円堂に近い椿井郷に住んでいたのでこの名がある。応安2年(1369)〈仏子椿井舜覚房法眼慶秀〉が春日神宮寺の十一面観音を修理した記録をはじめとして,16世紀にかけて成慶,集慶,舜慶など慶の1字を付した人物が多く,高間,登大路,富士山などの興福寺系仏所は,この椿井仏所から出ている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「椿井仏所」の意味・わかりやすい解説

椿井仏所
つばいぶっしょ

興福寺内の椿井にあった仏師組織。南北朝時代以降に南都仏所の中心的勢力として室町時代に活躍。創立は不詳であるが東大寺,興福寺と関係の深い慶派の流れをくむものと伝えられる。興福寺『吉祥天倚像』造立の寛慶が最も古い仏師とされ,ほかに忍慶,慶秀,舜慶,成慶,集慶,春慶らが知られる。奈良にはほかに高天仏所,富士山仏所,登大路仏所などがあった。

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