椿海干拓(読み)つばきうみかんたく

改訂新版 世界大百科事典 「椿海干拓」の意味・わかりやすい解説

椿海干拓 (つばきうみかんたく)

下総国香取,海上,匝瑳(そうさ)3郡(現在の千葉県旭市,匝瑳市,香取郡東庄町)にわたる湖,椿海の水を九十九里浜に排出した干拓事業。計画は元和年中(1615-24)よりあったが,寛文年中(1661-73)に江戸町人白井次郎右衛門が江戸幕府出願,代官伊奈氏の検分を受けたが不許可となった。白井は幕府大工棟梁辻内刑部左衛門を仲間として再び出願,勘定頭の検分,普請奉行任命等を経て工事に着手した。しかし椿海を用水源とする沿岸村々は反対運動を起こし,また白井も資力が続かず脱落し工事は中止された。辻内は一人での請負を再出願,鉄牛和尚らの助力により許可を得,江戸材木商野田屋,栗本屋を下請けとして工事を再開,1670年新川を完成し排水を開始すると大洪水となって川沿いの村々に大被害を与えたが,徐々に排水された湖底は水田化され,95年(元禄8)に総検地があって椿新田18ヵ村2万0441石余が誕生した。1743年(寛保3)には2万2072石余となり,のちに〈干潟八万石〉と呼ばれた。面積は4445町余(1876調)。しかし,用水源を失った村々や新田内の村々の間にも,用排水をめぐる対立が生まれ,この地域近代に至るまで水問題の争いを残した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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