楣式構造(読み)マグサシキコウゾウ(英語表記)trabeated construction

デジタル大辞泉 「楣式構造」の意味・読み・例文・類語

まぐさしき‐こうぞう〔‐コウザウ〕【×楣式構造】

垂直支柱とそれに支えられた横木基本とする建築構造。柱とはりを組み合わせる日本建築や、古代ギリシャ建築にみられる。→拱式きょうしき構造

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楣式構造」の意味・わかりやすい解説

楣式構造
まぐさしきこうぞう
trabeated construction

水平の梁を垂直の柱によって支え,建物の骨組みを構成する構造形式。 楣とは,窓,出入口などの壁面開口部の上に水平の梁を架け,上部の荷重を支持する場合の梁をいう。一般にアーチ式構造法と対比される。エジプトギリシア神殿はこの構造法に属する。また東洋木造建築多くもこれに属する。

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世界大百科事典(旧版)内の楣式構造の言及

【架構式構造】より

…楣(まぐさ)式構造ともいう。主体構造を柱,梁(はり)によって構成する構造で,壁構造に対するもの。…

【建築構造】より

…純然たるプラスチック構造は力学的には可能であっても防耐火性がないため都市部では実現しえない。
[木造圏の構造]
 大別すると,柱を並べてその上にはりを架した楣(まぐさ)式構造と,木材を横に積み重ねて構成する積木式(組積(そせき)式)構造とがある。日本,中国,東南アジアのほとんどの地域では木造建築の大半は開放的な楣式構造であり,15~17世紀にかけてドイツやイギリスで盛んに用いられたハーフティンバー構造(柱やはりを外部に現し,その間の壁体を石材や土壁などを用いて構成したもの)も楣式構造である。…

【日本建築】より

…木材を主とするから平面は正方形か長方形で,まれに八角や六角のものがあるにすぎず,円形や曲線平面のものは造られない。その構造方式は柱の上に梁(はり)をのせて軸組みを造る楣式(びしき∥まぐさしき)構造で,煉瓦や石のアーチ,ドームによるものとは根本的に異なる。したがって柱間の広さは梁によって制限され,そう広い柱間をとることができず,傾斜屋根をかけるため奥行きの深い建物を造ることができない。…

【楣】より

…窓や入口など建物開口部の上部の横木,広くは柱や壁の間に架け渡された横架材を指す。またこうした水平材と柱とを主体とする構造方式を,アーチを用いる組積造に対し,楣式構造trabeated constructionと呼ぶ。ただし横架材のうちでも,水平力をうけ持ち骨組みの一部として働くものを(はり),水平力を考慮せず垂直荷重をうけるだけのものを楣として区別することがあり,柱・梁による構造のほうはラーメン構造,そうではない単純な積み木的なものを柱・楣構造post‐lintel constructionと呼んでいる。…

※「楣式構造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」