木造建築(読み)もくぞうけんちく(英語表記)wooden building

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木造建築」の意味・わかりやすい解説

木造建築
もくぞうけんちく
wooden building

主要構造部に木材を使った建物。木材は手近で得やすく,加工が容易なため,木造建築住居の歴史とともに古い。北ヨーロッパ,中国,朝鮮東南アジア,日本など材木の豊かな地域で発達した。日本では,飛鳥・奈良時代に大陸から仏教建築が伝来して以来,独自の建築様式確立,今日にいたる長い技術の伝統をもっている。木材は造形,加工の自由さと工期の短さから,住宅用には広く用いられるが,耐火,耐久性に欠点があり,近代においては大規模建築に適さないとされてきた。しかし集成材の開発などによって新しい架構の可能性が開け,また木造建築のもつ暖かさ,親しみやすさが再評価されて,大規模な公共的な建築にも盛んに木造が用いられるようになりつつある。

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世界大百科事典 第2版 「木造建築」の意味・わかりやすい解説

もくぞうけんちく【木造建築】

建築の主要構造部分である骨組みや壁体に木材を使用したものをいう。ふつうは屋根を支える小屋組材,床版を支える床組材,これらを支える柱や壁の軸組材がすべて木材からなっている建築をいい,壁などが石造煉瓦造の場合は,たとえ床や小屋組みが木でできていても木造とはいわない。日本をはじめ,東アジア南部,東南アジア,ヨーロッパの北東部や山間部,それに北アメリカなどで,いまだに純粋な木造建築がひろく建てられ,その種類もきわめて多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木造建築」の意味・わかりやすい解説

木造建築
もくぞうけんちく

木構造

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世界大百科事典内の木造建築の言及

【近代建築】より

…第1に,西欧様式の移植が前近代の日本的伝統に対するなんらの顧慮も評価も伴わずに達成されたこと,すなわち伝統を完全に無視した地点に新しい文明が接木されたこと,そして第2に,近代建築の成立期には日本もまた過去からの〈分離〉をうたうのであるが,その過去というのは,明治時代の移植が創造を伴わない安易な模倣の姿勢に終始したことを指すのであって,ここでも日本的伝統に対してどのように対処するかという視点は欠落したままであったこと。こうしたことの結果として,日本の木造建築の伝統は建築家の意識の外で生き残る一方,近代建築の成立・発展の途上で様式上の行きづまりが自覚されると,日本的個性をよみがえらせるものとして,つねに伝統が想起されるという現象が生じた。1890年代には早くも木造建築の技法によって造られた公共建築が出現する。…

【社寺建築構造】より

…しかし日本で始められたものもあり,また細部の取扱い,曲線の性質,意匠の洗練さなどの面で,日本独自の様式をつくっている。日本古来の木造建築のうちでも,社寺建築はながく建築界の主流を占め,その構造もまた和風木構造のなかで最も高度な技術をもつものへと発達した。
【一般的特徴】
 社寺建築は,煉瓦造,石造のように多くの部材を積み重ねて骨組みをつくるのではなく,垂直に立つ柱と,これを水平につなぐ材がそのおもな骨組みとなる。…

【朝鮮美術】より

…これは土間床のみの中国と板敷床の発達した日本の民家の性格を兼ね備えたものともいえよう。 朝鮮の木造建築に最も多く使用されている木材はアカマツで,日本のヒノキやスギのような良材は得られない。アカマツには大材が少なく,樹脂を多く含み,屈曲材が多いために加工精度が悪いなどの欠点がある。…

※「木造建築」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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