楽一入(読み)らく・いちにゅう

朝日日本歴史人物事典 「楽一入」の解説

楽一入

没年元禄9.1.22(1696.2.24)
生年:寛永17(1640)
江戸中期の陶工。楽家4代。幼名を左兵衛,明暦2(1656)年吉左衛門を襲名。元禄4(1691)年養子宗入に家督を譲り一入と改める。茶碗の器形には3代道入(のんこう)の影響はあまりみられず,むしろ長次郎の作を倣っており,高台などに一入らしさがあるが古格がある。釉技は道入の技を受け継ぎ,赤楽は道入の砂釉に近いものを用いながら,黒楽では道入に稀にみられる黒釉のなかに赤い斑文の現れる朱釉を完成させ,赤楽,黒楽ともに古格の造形にあった落ち着きのある釉調に仕上げている。印は道入の自楽印に似るが「自」の部分が「白」となり,やや小振りで高台内や胴裾から高台脇に捺している。玉水焼初代一元は一入の庶子である。

(伊藤嘉章)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「楽一入」の解説

楽一入 らく-いちにゅう

1640-1696 江戸時代前期の陶工。
寛永17年生まれ。楽道入(どうにゅう)の子。京都の楽家4代。茶碗の製作に力をそそぎ,朱釉(しゅゆう)を得意とし,小ぶりの妙品に味わいをだしている。元禄(げんろく)9年1月22日死去。57歳。本姓田中通称は吉左衛門。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android