朝日日本歴史人物事典 「榊原芳野」の解説
榊原芳野
生年:天保3(1832)
江戸末期・明治前期の国学者。通称鬲蔵。号は琴洲,佳園,鬲斎など。江戸日本橋の町家に生まれる。父正之助は俳諧を,母みすは和歌を善くしたという。和学を伊能穎則に,仏学を行阿に学び,長じて本所石原町に塾を開いた。明治維新後,大学中助教となり,明治4(1871)年,文部省編輯寮に転じ,その禄の大部分を書籍購入にあてたため,その蔵書は数千巻におよんだ。7年火災によって灰燼に帰したが,さらに蒐書に励んで七千余巻の蔵書に至った。時人には博学多識を以て聞こえた。『古事類苑』の編集に力を尽くした。没後蔵書は東京書籍館に寄贈され,現在国会図書館が所蔵する。
(飯倉洋一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報