標準電球(読み)ひょうじゅんでんきゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「標準電球」の意味・わかりやすい解説

標準電球
ひょうじゅんでんきゅう

光測定の標準器として色温度が2856ケルビンになるように点灯して使う電球。光束、光度などの特性の均一性、安定性および再現性などに優れている。通常、直流電源で点灯する。測光用には全光束測定用および水平光度測定用標準電球があり、ほかに光高温計用標準電球がある。全光束測定用は100ボルトで10~1000ワットまでの種類があり、一般照明用電球と同一形状である。水平光度測定用は8~1500ワットで水平光度10~3000カンデラまでの種類があって、単一コイル平面形フィラメントである。これらの標準電球は、測色においては標準光源Aとして使用される。また光高温計用は光高温計の示度検査用に使用されるもので、タングステンリボンフィラメントを使用し、リボン表面の温度が一様になるように特殊な形状をしている。

 国際度量衡委員会は1937年に白金の凝固点温度の黒体炉を光の一次標準器と定め、そのときの白金表面の輝度を60万カンデラ毎平方メートル(cd/m2)と決めた。その後、1979年の国際度量衡総会で、周波数540テラヘルツ(波長約555ナノメートル)の単色放射を放出し、その方向における放射強度が683分の1ワット毎ステラジアン(W/sr)である光源の光度を1カンデラとする改正案が採択され、従来の定義は廃止されて現在に至っている。

 測光単位の維持には、一次標準器から値を移した標準電球を二次標準として使用する。この標準電球は白金点温度にあわせて色温度2042ケルビンに点灯される。国際比較に用いられる標準電球として、日本で開発された10ボルト15カンデラのM型標準電球が1965年に採用されたことは有名である。

 水平光度測定用標準電球の体系には、色温度を前記のように2856ケルビン、2042ケルビンで使用するもののほかに、2353ケルビンで使用する電球もある。

 分光測定に使われる分光放射輝度標準電球は、石英窓付きのリボンフィラメント電球であって、フィラメントの中央部における分光放射輝度が目盛られている。分光放射照度標準電球は、専用金具と特製ハロゲン電球を一体化したもので、これによる規定位置における分光放射照度が目盛られている。

[小原章男・別所 誠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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