温度といっても色に温度があるわけではないので,温度計を近づけてそこの温度を測るというようなものではない。色温度とは,完全放射体,すなわち黒体というものを考えて,その温度を変えるとそこから出てくる光の分光エネルギー分布が変化して色が変わってくるということに着目し,色をそれと同じ色を出す黒体の温度で表そうとするものである。黒体放射は諸条件を厳密にコントロールした実験室でないと実現できないので簡単に体験できるものではないが,代りに例えば炭を燃える火の中にほうりこんでみよう。最初,つまり炭の温度の低いときは赤い色をしているが,よく燃えてきて温度が上がってくるとだんだん白っぽくなる。色の変化がよくわかるはずである。色温度が1000Kならその色は610nmに近い単色光の色,つまりだいだい色であり,5000Kならほとんど真っ白の色,そして1万Kなら少し青みを帯びた白色ということになる。色温度で表せる色は黒体の出す色に限られているから,それと似ているタングステンランプなど,物を熱して出てくる光の色を表示するには便利である。しかし木の葉の緑とか,水の色とか,ピンクなどの色はとうてい色温度で表示することはできない。したがって色温度をよく使うのは照明用の光源の色に対してであり,その他の一般の色には適用しない。なお,星の場合にはその色温度は大気構造を決める重要な手がかりになる。
→色指数
執筆者:池田 光男
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黒体放射の色と対応させて、発光物体の温度を表示する方法、またその数値。真っ暗な室内で電熱器のスイッチを入れると、温度があがるにつれてニクロム線の色が変わっていく。このように物体はその温度に応じた放射(熱放射)を出すが、どの波長の放射をどれだけ出すかは温度で違い、可視光部分のその差が色の違いとして感じられる。同じ温度でも表面の性質で放射の仕方は異なるので、標準物体として黒体を考え、一般の物体が出す光(反射光を除く)の色が温度Tの黒体放射の色と同じに見えるとき、物体の色温度はTであるという。色温度と物体の本当の温度とはかならずしも等しくはない。またピンクなど、色温度によっては表せない色もあるので、利用は光源などに限られる。蛍光灯を買うと、箱に色温度について書いてあることが多い。なお、色温度は俗にいう暖かい色(赤、黄、橙(だいだい))、冷たい色(紫、青)とは関係がない。
[小出昭一郎]
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高温物体の放射する色と等しい色を放射する黒体の絶対温度.その測定には,可視領域で放射の分布を測定すればよいが,実際には簡単のため二つの波長域での放射の強さの比を求める.
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