改訂新版 世界大百科事典 「測色」の意味・わかりやすい解説
測色 (そくしょく)
colourimetry
色を表示するのに用いられる諸量を測定すること。その内容はどのような表色系で色を表すかによって違ってくる。色をマンセル表色系で表そうとするなら,その色のH(ヒュー),V(バリュー),C(クロマ)を決定することが測色になる。例えばツユクサの花の色は6.5 PB3.4/17.8などと同定することである。もちろんこのとき花を見ただけではこれらの数値や記号を決めることはできないので標準のマンセル色票を使い,それらを花と比べてみて花の色にいちばん近い色票を見つけ,そのHVCの値を読み取るのである。色票の枚数には限りがあるので中間の値を推測することもある。上記の例の場合はすべて推測された値である。
色を国際照明委員会(CIE)のXYZ表色系で表そうとする場合は,その光のX,Y,Z値,つまり三刺激値を決定することが測色になる。狭義にはこれを測色といっている。それらが定まればx=X/(X+Y+Z),y=Y/(X+Y+Z)で色度座標x,yを計算し,xy色度図にプロットすることができる。またそれらを変換してu′v′均等色度図(2点間の間隔を心理的な色差の感覚に近くなるようにした色度図の一種)上へのプロットも可能である。
X,Y,Zを求めるには,X,Y,Zの分光感度ともいうべき等色関数x(λ),ȳ(λ),z(λ)を,被測定光の分光エネルギーに波長ごとに掛けて,これを全波長にわたって足せばよい。これらの操作を実行するのが測色計であるが,x(λ),ȳ(λ),z(λ)と同じ分光感度をもった3種類の受光器で直接に光のX,Y,Zを測定するフィルター式のものと,分光器と受光器の組合せで光の分光エネルギー分布を測定し,あと計算でX,Y,Zを求める分光式のものとがある。どちらもそれぞれ特長があり,フィルター式のものは小型軽量化の点で優れ,分光式のものは精密測定の点で秀でている。
X,Y,Zが求まれば,u′v′均等色度座標への変換,あるいは均等色空間(明度と知覚色度を表すための三次元空間で,二つの色刺激を表す2点間の距離が,二つの色刺激の間で知覚される色の差に対応しているもの)のL*,u*,v*(L*u*v*表色系),またはL*,a*,b*(L*a*b*表色系)への変換も計算によってできるので,多くの測色計はそれらの機能も備えている(L*は明度指数,u*,v*,a*,b*は知覚色度指数と呼ばれ,それぞれの表色系で計算式が異なる)。また二つの光の色を測色して,色差を,
の式で計算する測色計も一般的なものとなりつつある。
→色
執筆者:池田 光男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報