横隔膜弛緩症(読み)おうかくまくしかんしょう(英語表記)diaphragmatic eventration

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

横隔膜弛緩症
おうかくまくしかんしょう
diaphragmatic eventration

麻痺,萎縮,形成不全などにより,横隔膜の緊張が欠如して胸腔側に異常に高挙し,腹部臓器が胸腔内部に侵入する状態。先天性後天性とがある。成人では左側,小児では右側に多い。大多数は無症状だが,咳,呼吸困難,気管支炎などの急性呼吸器症状,嚥下困難,悪心,嘔吐,腹部膨満感などの消化器症状のほか,動悸,頻脈などもみられることがある。症状の強いものは手術の対象となり,縫縮術,人工代用物による補強術などが行われる。

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内科学 第10版の解説

横隔膜弛緩症(横隔膜位置異常)

(1)横隔膜弛緩症(eventration of diaphragm)
定義・概念
 横隔膜弛緩症は片側あるいは両側横隔膜の筋性発達不全による,おもに先天性疾患である.
原因・病因
 病理学的に,筋線維が消失した部分は薄い膜様の結合組織で置換される.後天性横隔膜弛緩症として横隔神経障害による二次的横隔膜筋萎縮などがある.
臨床症状
 片側横隔膜弛緩症は症状を伴わないことが多い.両側性は呼吸不全を生じることが多い.
診断
 胸部X線所見は横隔膜挙上を認めるが病変の広がりの程度に依存する.
鑑別診断
 片側性の場合,片側横隔膜麻痺と鑑別が必要となるが,横隔膜弛緩症は左側に多いのに対し特発性横隔膜麻痺は右側に多い点は鑑別の参考になる.
治療
 先天性の両側横隔膜弛緩症により呼吸不全を生じると人工呼吸器が必要であるが,近年は非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)が適用される.また,横隔膜縫縮術が外科的に行われることもある.[鰤岡直人・清水英治]
■文献
鰤岡直人:胸部写真が正常な呼吸器疾患.フレイザー,呼吸器病学エッセンス: 清水英治,藤田次郎監訳, pp 1001-1012, 西村書店,2009.
Fraser RS, Neil C et al: Disease of the diaphragm and chest wall. In: Synopsis of Diseases of the Chest (3rd ed), pp 897-911, Elsevier, Philadelphia, 2005.

横隔膜弛緩症(その他,腹膜疾患)

(2)横隔膜弛緩症
 【⇨7-16-3)】[藤沢聡郎・松橋信行]
■文献
Debrock G, Vanhentenrijk V, et al: A phase II trial with rosiglitazone in liposarcoma patients. Br J Cancer, 89: 1409-1412, 2003.
Saab S, Hernandez JC, et al: Oral antibiotic prophylaxis reduces spontaneous bacterial peritonitis occurrence and improves short-term survival in cirrhosis: a meta-analysis. Am J Gastroenterol, 104: 993, 2009.

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