内科学 第10版 「横隔膜弛緩症」の解説
横隔膜弛緩症(横隔膜位置異常)
定義・概念
横隔膜弛緩症は片側あるいは両側横隔膜の筋性発達不全による,おもに先天性疾患である.
原因・病因
病理学的に,筋線維が消失した部分は薄い膜様の結合組織で置換される.後天性横隔膜弛緩症として横隔神経障害による二次的横隔膜筋萎縮などがある.
臨床症状
片側横隔膜弛緩症は症状を伴わないことが多い.両側性は呼吸不全を生じることが多い.
診断
胸部X線所見は横隔膜挙上を認めるが病変の広がりの程度に依存する.
鑑別診断
片側性の場合,片側横隔膜麻痺と鑑別が必要となるが,横隔膜弛緩症は左側に多いのに対し特発性横隔膜麻痺は右側に多い点は鑑別の参考になる.
治療
先天性の両側横隔膜弛緩症により呼吸不全を生じると人工呼吸器が必要であるが,近年は非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)が適用される.また,横隔膜縫縮術が外科的に行われることもある.[鰤岡直人・清水英治]
■文献
鰤岡直人:胸部写真が正常な呼吸器疾患.フレイザー,呼吸器病学エッセンス: 清水英治,藤田次郎監訳, pp 1001-1012, 西村書店,2009.
Fraser RS, Neil C et al: Disease of the diaphragm and chest wall. In: Synopsis of Diseases of the Chest (3rd ed), pp 897-911, Elsevier, Philadelphia, 2005.
横隔膜弛緩症(その他,腹膜疾患)
【⇨7-16-3)】[藤沢聡郎・松橋信行]
■文献
Debrock G, Vanhentenrijk V, et al: A phase II trial with rosiglitazone in liposarcoma patients. Br J Cancer, 89: 1409-1412, 2003.
Saab S, Hernandez JC, et al: Oral antibiotic prophylaxis reduces spontaneous bacterial peritonitis occurrence and improves short-term survival in cirrhosis: a meta-analysis. Am J Gastroenterol, 104: 993, 2009.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報