はた‐もの【機物】
〘名〙
※
書紀(720)神代上(兼方本訓)「稚日女
(わかひるめ)の尊
(みこと)、乃ち、驚きたまひて機
(ハタモノ)より堕
(を)ちて」
※宇津保(970‐999頃)吹上上「
織物の所。はた物ども多くたてて、織手廿人ばかりゐたり」
② 機で織ったもの。織物。機(はた)。
※
万葉(8C後)七・一
二九八「かにかくに人はいふとも織り継がむ我が廿物
(はたもの)の白き
麻衣」
③ 磔
(はりつけ)用の
木材。磔用の
刑具。もと①を用いたところからいう。また、それにかけられる
罪人。
※
今昔(1120頃か)二九「此の男を、髪に縄を付て、幡物と云ふ物に寄せて背を
出させて、足を結曲めて」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「機物」の意味・読み・例文・類語
はた‐もの【機物】
1 布を織る道具。はた。
「―の踏み木持ち行きて天の川打橋渡す君が来むため」〈万・二〇六二〉
2 機で織った物。織物。
「かにかくに人は言ふとも織り継がむ我が―の白き麻衣」〈万・一二九八〉
3 《もと1を用いたところから》磔用の刑具。
「四つの肢を―に張り付けて」〈今昔・一六・二六〉
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世界大百科事典(旧版)内の機物の言及
【磔】より
…キリスト教の影響によって,コンスタンティヌス帝の末年に磔刑(たつけい)は廃止され,その柱を利用する絞殺に代わった。 日本では,平安時代の末ごろから磔(八付(はつつけ),機物(はたもの)ともいう)が現れ,戦国時代には逆磔(さかさはりつけ)も行われた。江戸時代には幕藩において磔を最重の死刑とし,これに[鋸挽](のこぎりびき),[晒](さらし),[引廻し](ひきまわし)などを付加した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」