此れの(読み)コレノ

デジタル大辞泉 「此れの」の意味・読み・例文・類語

これ‐の【×此れの/是の】

[代]《「此れの人」の略》三人称人代名詞。親しみをこめて、夫から妻、妻から夫をさしていう語。
「―はうちにおりゃるか」〈虎明狂・花子
[連語]《「の」は格助詞》この。ここにある。
「聞きしごとまこと尊くくすしくも神さびをるか―水島」〈・二四五〉

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精選版 日本国語大辞典 「此れの」の意味・読み・例文・類語

これ‐の【此の・是の】

  1. [ 1 ] 〘 連語 〙
    1. ( 物事を指示していう。「この」よりもいくらか指示性が強い ) ここにある。ここにいる。この。
      1. [初出の実例]「己礼乃(コレノ)世は移り去るともとことばにさ残り坐(いま)せ後の世のため 又の世のため」(出典:仏足石歌(753頃))
    2. ここの。ここに従属している。
      1. [初出の実例]「向後は是(コレ)の者ぢゃ程にさうこころえ」(出典:雲形本狂言・縄綯(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 ( 「これの人」の下略 ) 他称。親しみをこめて、自分の配偶者をさしていう語。こちの人。
    1. 自分の夫をさして呼ぶ語。
      1. [初出の実例]「なう腹立や。腹立や。是のはござらぬか。棒を持て出て、あの狼ぜきものを打たほいて被下い」(出典:虎寛本狂言・鈍太郎(室町末‐近世初))
    2. 自分の妻をさして呼ぶ語。
      1. [初出の実例]「やまのかみをよび出し、隙をこふてみばやと存る。これのはうちにおりやるか」(出典:虎明本狂言・花子(室町末‐近世初))

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