朝日日本歴史人物事典 「武左衛門」の解説
武左衛門
生年:生年不詳
江戸中期の義民。寛政5(1793)年伊予国(愛媛県)吉田藩に通称吉田騒動と呼ばれる百姓一揆が発生した。吉田藩は特権商人と結託し,特産物である紙の専売化を計画し,紙生産者である小百姓に税を賦課し始めた。百姓たちは,吉田藩の本家である宇和島藩への越訴を実行した。このとき,一揆勢およそ9600人を指揮し,宇和島藩との交渉に当たった頭取が武左衛門である。その結果百姓側の要求は全面的に受け入れられた。しかし,吉田藩は頭取の追及を開始し,武左衛門は捕縛され,斬首のうえ獄門とされた。後世,武左衛門に対する義民伝承が生まれた。また大正8(1919)年には,顕彰碑も建立されている。<参考文献>横山十四男『義民』
(須田努)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報