歩積両建預金(読み)ぶづみりょうだてよきん

改訂新版 世界大百科事典 「歩積両建預金」の意味・わかりやすい解説

歩積・両建預金 (ぶづみりょうだてよきん)

金融機関の顧客に対する貸付けおよび手形割引に関連して作成される拘束性預金総称。拘束性預金とは,債務者から受け入れた預金のうち,債務者が自由に払い戻すことができないように金融機関が拘束している預金のことをいう。手形割引,商業手形担保の貸付けに際し,その一定割合によって作成されるものを歩積預金という。また,金融機関が貸出しを行う際に,その貸付金の一部を強制的に預金させる場合,あるいは顧客が預金の引出しにより資金調達をしようとする際に,預金引出しの代りに金融機関が貸出しによって顧客の資金需要にこたえる場合,これらの預金を両建預金という。

 歩積・両建預金は,金融機関がその優越した立場を利用し,顧客に対し,本来は支払わなくともよい借入利息を支払わせるものであり,独占禁止法にも抵触する。そのため,過当な拘束性預金に対しては,大蔵省の行政指導により,金融機関は預金の整理,金利措置等の自粛措置を行う必要がある。預金の整理とは当該預金と対応する貸付金の相殺であり,金利措置とは,対応貸付金に対する金利の一部を,預金と貸金が両建併存していた全期間について返戻することである。ただし,金融機関が債務者から受け入れている定期性預金がすべて拘束性預金であるというわけではない。定期預金が預金者自身の選択によって預けられ,中途解約も預金者の申出どおりになされているなら,それは拘束性預金とはいえない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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