生物集団中において、遺伝子型の違いにより次世代を構成するそれぞれの子孫の比率に差があるとき、そのような差を引き起こす作用または操作を選択という。淘汰(とうた)、選抜ともいう。人間により選択が行われる人為選択と、自然界における自然選択とが区別される。後者は生物進化をもたらす重要な要因の一つとされている。なお、有性生殖を行う生物では、生殖にかかわる過程で一方の性に特有の選択が働くことがあり、これをとくに性選択という。クジャクの雄の尾羽は、生存のためにはむしろ不利と考えられるが、それが雌との交尾機会を増すために有利であり、性選択が働き進化したと説明される。性選択は雌雄の形質の違いを生じさせることになるが、一般に、子孫を自ら産出できない雄性のほうに強い選択が働くといえる。選択が個体ではなく、小集団を単位として働くとき群選択というが、そのような選択が生じるかどうかについては疑うむきが多い。ある個体にとっては不利な形質であるが、それの血縁者には有利であり、結果としてその形質を支配する遺伝子がその血縁者を通してかえって多く残るようなこともありうる。このような場合の選択の生じ方をとくに血縁選択という。社会性昆虫における不妊のワーカーの存在など、利他的形質の進化を説明するものとして注目されている。
選択の生じ方により、平均から極端に外れた変異個体を除去する安定化選択、集団全体の性質を特定の方向に変化させるように働く方向性選択などが区別される。環境が安定な場合には前者が、環境が変化した場合には、その新しい環境に適応するように後者が働くと一般に考えられている。環境条件が多様であるなどで、複数の適応の仕方がありうるとき、中間的なものが排除され、多型的な集団をつくりだすような分断選択が働くともいわれる。
[上田哲行]
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…ところが後代になると,暦に日の吉凶を書きこむことが行われるようになり,一般の人もそれを見ることによって吉凶を判断することができた。占星術の用語を使うと,こうした吉凶判断は〈選択〉と呼ばれ,とくに中国で盛んに行われたのである。暦はこれによって月日を知ったが,暦注によって日の吉凶を知ることが暦の今一つの重要な役割であった。…
…生物学用語。選択,選抜ともいわれる。ある生物種の地域集団内には表現型において異なる個体がさまざまにあるのが普通であるが,そのような表現型の違いが,個体間に適応度,すなわち生存率および(または)繁殖率の差を生じさせることがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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