死の淵より(読み)シノフチヨリ

デジタル大辞泉 「死の淵より」の意味・読み・例文・類語

しのふちより【死の淵より】

高見順詩集食道がんの闘病生活中に執筆されたもの。昭和39年(1964)刊。同年、第17回野間文芸賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「死の淵より」の意味・わかりやすい解説

死の淵より
しのふちより

高見順(じゅん)の詩集。1964年(昭和39)講談社刊。『樹木派』(1950)、『高見順詩集』(1953)、『わが埋葬』(1963)に続く4冊目の詩集。63年から64年の闘病生活(食道癌(がん))から生まれた詩60余編を収める。「つめたい煉瓦(れんが)の上に/蔦(つた)がのびる/夜の底に/時間が重くつもり/死者の爪(つめ)がのびる」(死者の爪)で始まり、以下ほとんどの詩が「半生を顧みた絶唱」(平野謙(けん))である。直面した死というきわめて取り扱いにくい対象を厳しく透徹した目で見据え、感動をよぶ。野間文芸賞受賞。

[遠矢龍之介]

『『詩集死の淵より』(講談社文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内の死の淵よりの言及

【高見順】より

…一方,豊富な資料によって《昭和文学盛衰史》(1952‐57)を書き,日本近代文学館の設立にも尽力した。そのほかに《樹木派》(1950)などの詩集も残したが,なかでも《死の淵より》(1964)は食道癌の手術後の1年間に作った50余編の詩を収めたものである。【鳥居 邦朗】。…

※「死の淵より」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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