比地郷(読み)ひじごう

日本歴史地名大系 「比地郷」の解説

比地郷
ひじごう

和名抄」所載の郷。高山寺本・東急本ともに訓を欠く。「播磨国風土記」に比治ひじ里がみえる。地名は孝徳天皇の時代に揖保いぼ郡から宍禾しさわ郡を分立した際、山部比治が里長に任命されたことにちなむという。山部は「古事記」応神天皇段や「日本書紀」応神天皇五年条に山部または山守部としてみえる、山林からの収穫物の献納や山林の監守を任とする部である。


比地郷
ひじごう

中世後期の郷名。現在の上比地・中比地・下比地・川戸かわと宇原うはら付近をいうか。享徳三年(一四五四)一〇月の一宮領并神官・社僧等拘持田畠注文案(伊和神社文書)に「比地郷」がみえ、播磨一宮伊和いわ神社(現一宮町)の子勝祝拘持分・与位祝拘持分としてそれぞれ四石五斗二升八合、計九石五升六合(八合升定)が充てられている。両分のうちいずれも一石五斗は守護山名氏の給人である中沢方・くわかき方・惣持房の押領にあっており、五斗は煤掃料、一石七斗二升は祭礼御供米(子勝祝拘持分は六月一五日祭、与位祝拘持分は四月三日祭)である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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