改訂新版 世界大百科事典 「毛紡機」の意味・わかりやすい解説
毛紡機 (けぼうき)
羊毛,カシミア毛,モヘアなどから毛糸を紡績する機械の総称で,梳毛(そもう)用と紡毛用とがある。紡毛では短い繊維で太い糸を作るため,色や種類の異なる繊維を均一に混合することに重点がおかれ,カードで細いスライバーまたは粗糸を作った後,精紡機で糸にする。なお,ぼろ布や糸くずを再生する場合も多く,布や糸を解きほぐす反毛機,綿などを炭にして取り除くための洗浄・化炭機が用いられる。梳毛では繊維を平行かつ均一に引きそろえるため,カードの後でギルやコーマーなど多くの機械を使用し,太くて長い雑種羊毛にはイギリス式,細くて短いメリノ羊毛にはフランス式の機械を用い,その他アメリカ式,折衷式もある。最近では工程の短縮化,自動化,高速化,省力化が図られ,リング精紡機で直接双糸を作る装置(サイロスパン方式)も開発されている。
執筆者:近田 淳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報