翻訳|mohair
アンゴラ種のヤギの毛。アラビア語のmukháyyar(選ぶの意)を語源とする。絹のようになめらかで,光沢のある白あるいは黄みがかった白のヘアで,捲縮(ちぢれ)がなく,耐久性と弾力に富む。原産地は中央アジアといわれ,とくに現在のトルコが長い歴史をもっている。現在ではトルコのほかに1838年トルコからアンゴラ種を輸入・飼育してきた南アフリカと,49年以降同じくトルコからアンゴラ種を輸入・増殖させてきたアメリカ(とくにテキサス州)が世界の三大産毛国となっている。剪毛(せんもう)は生後6ヵ月ぐらいから始まり,アメリカ,南アフリカのように年2回剪毛する国と,トルコのように年1回しか剪毛しない国があり,それによって繊維の長さ・品質が異なってくる。繊維の太さは子ヤギの毛が平均24~27μm,成羊の毛が平均40μmほど,長さは10~25cmである。1982年度の産毛量は,南アフリカ763万8188kg,トルコ450万kg,テキサス州410万kg,アルゼンチン100万kg,レソト100万kg,オーストラリア25万kgで,全世界の産毛量の90%以上を生産している。用途としては,パイル織物,裏地,夏服地,ニットウェア,ラッグ,毛布,家具用布地などに使用される。
執筆者:山崎 宗城
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中央アジアにいるアンゴラヤギの毛のこと。現在では、トルコや南アフリカ共和国が主産地である。モヘアは羊毛繊維より太くて長く、純白で絹様の美しい光沢がある。また羊毛にみられる捲縮(けんしゅく)やスケールはほとんどないため、単独で紡績することは困難で、一般に羊毛と混用される。一方、手ざわりは非常に滑らかで、強さも大で折り曲げにも反発するため、用途として、高級な夏服地のほか、高級な添毛(てんもう)織物として椅子(いす)張地などに使われている。
[並木 覚]
…ヤギ肉は特有なにおいがあって嫌う人も多いが,日本でも沖縄県や長崎県では古くからヤギ肉料理が食べられていて,肉用の在来ヤギ(トカラヤギ,シバヤギ(イラスト))が飼育されていた。毛用種としてはモヘアmohairを生産するトルコ原産のアンゴラ種Angora,冬に生える下毛が高級織物(カシミア織)の原料となるカシミア種Cashmereが有名である。モヘアは毛長15~18cmで,光沢と弾力にすぐれ,薄地の夏服地,肩掛け,高級ビロードなどの原料とする。…
…ヤギ肉は特有なにおいがあって嫌う人も多いが,日本でも沖縄県や長崎県では古くからヤギ肉料理が食べられていて,肉用の在来ヤギ(トカラヤギ,シバヤギ(イラスト))が飼育されていた。毛用種としてはモヘアmohairを生産するトルコ原産のアンゴラ種Angora,冬に生える下毛が高級織物(カシミア織)の原料となるカシミア種Cashmereが有名である。モヘアは毛長15~18cmで,光沢と弾力にすぐれ,薄地の夏服地,肩掛け,高級ビロードなどの原料とする。…
…羊毛はメンヨウから切り取った毛で,ウールともいい,人間が利用する動物の毛の大部分を占める。動物の毛としてはヘア(獣毛)と呼ばれるラクダ毛,カシミア毛,モヘア(アンゴラヤギ毛),アンゴラウサギ毛,アルパカ毛も繊維として使われる。ヒツジは有史以前から中央アジア地方で飼育されたらしい。…
※「モヘア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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