氏賤(読み)しせん

精選版 日本国語大辞典 「氏賤」の意味・読み・例文・類語

し‐せん【氏賤】

  1. 〘 名詞 〙 令制における氏の共有財産としての家人奴婢氏上氏宗氏長者)の管理下にある。氏上の私有財産ではないから、氏上の死亡による財産分配のときもその対象にはならず、次の氏上の管理に移される。
    1. [初出の実例]「凡応分者。家人。奴婢。〈氏賤不此限〉」(出典令義解(718)戸)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の氏賤の言及

【氏上】より

…律令では,継嗣令に,氏宗は勅によって定めるとし,喪葬令には,三位以上と氏宗は墓を営むことを許すとされた。そのほか,氏上は氏の共有財産である氏賤を管理し,氏人をひきい氏神の祭祀を行った。平安時代に氏上は氏長者(うじのちようじや)とよばれ,中でも藤原氏の氏長者はもっとも有名である。…

【賤民】より

…また,賤民を解放して良民とすることを放賤従良といった。私有賤民は,一般の公民も所有する場合があるが,大量に所有するのは貴族・豪族や寺社であり,それらは氏賤,寺賤,神賤とも称された。奴の和訓はヤツコで家の子の意味であり(臣・妾・賤もヤツコと訓じる場合があった),私有賤民が貴族・豪族や寺社の譜第隷属民であったことを示している。…

※「氏賤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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