民主化運動(読み)みんしゅかうんどう(その他表記)democratization movement

知恵蔵 「民主化運動」の解説

民主化運動

民主化を目指す民衆運動が、世界各地で活性化してきた過程。民主主義理念が普遍的に受け入れられ、特に1980年代半ば以降、東欧や第三世界の一部で大きな変革を起こした。政治・経済エリート、それを支える知識人などによる上からの民主化と、労働者、反体制知識人、底辺層、女性、少数集団など疎外された人々による下からの民主化とから構成され、両者は複雑に連動する。目標や運動形態は多様だが、共通の特徴は、(1)形骸化した法の支配言論の機能を再生させながら、非暴力・合法的な活動空間を拡大し、選挙や議会などの民主主義制度を活用する、(2)蔓延(まんえん)するアパシー(無気力)や逃避傾向を克服し、公共性と連帯を回復させる、(3)環境、発展、人権軍縮と非軍事化など、地球的問題群に取り組み、NGOとの連携を通じて、国境を超えた民際的連帯を志向する、など。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「民主化運動」の意味・わかりやすい解説

民主化運動
みんしゅかうんどう
democratization movement

1970年代前半の南欧の民主化以降,世界的な民主化の連鎖反応が起きた。それによって,中南米多くの国やアジアのいくつかの国で独裁政権や軍事政権崩壊,80年代後半には,ソ連および中・東欧諸国で,市民による民主化運動が大きな原動力となって次々と旧体制をくずしていった。さらに 89年には中国に飛び火した民主化運動が弾圧を受け (天安門事件) ,大きな国際的反響を呼んだ。

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