日本大百科全書(ニッポニカ) 「水素貯蔵用金属」の意味・わかりやすい解説
水素貯蔵用金属
すいそちょぞうようきんぞく
水素を貯蔵、運搬する目的で使われる、多量の水素を吸収しうる金属。水素は、燃焼すると水を生ずるだけで有害ガスをまったく発生せず、クリーンエネルギー源として注目されている。チタン、ジルコニウム、ランタン‐ニッケル合金は水素を吸収すると水素化物TiH2, ZrH2, LaNi15H6.7を形成し、同一体積で1000気圧で圧縮した気体水素と同等、また液体水素の約2倍の水素を貯蔵しうる。このような性質をもつ金属にはマグネシウム、ニオブ、バナジウム、マンガン、およびそれらの合金がある。これらの水素化物は、わずかに温度を上げることによって水素ガスを放出する。この水素の純度は非常に高い。
[須藤 一]