ランタン(読み)らんたん(英語表記)lanthanum

翻訳|lanthanum

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランタン」の意味・わかりやすい解説

ランタン
らんたん
lanthanum

周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1839年スウェーデンのモサンデルによって、セリウムの酸化物から初めて分離されたので、ギリシア語のlanthanein(隠れている)にちなんで命名された。主要鉱物はバストネサイト、モナズ石など。塩化物の溶融塩電解によって白色の金属を得る。室温ではα(アルファ)型が安定。292~868℃ではβ(ベータ)型、868℃以上ではγ(ガンマ)型が安定。空気中に置くと、室温で表面が酸化され、445℃以上で燃えて酸化物となる。高温では水素窒素とも反応する。冷水とは徐々に、熱水や酸には速やかに水素を発して溶けて酸化数Ⅲの塩をつくる。水素吸蔵合金(LaNi5など)、触媒光学ガラス、熱電子放射体などの用途がある。

[守永健一・中原勝儼]



ランタン(データノート)
らんたんでーたのーと

ランタン
 元素記号  La
 原子番号  57
 原子量   138.9055±3
 融点    921℃
 沸点    3500℃
 比重    α;6.19
       β;6.17
 結晶系   α;六方
       β;立方
       γ;立方
 元素存在度 宇宙 0.36(第61位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 30ppm(第27位)
       海水 3.1×10-3μg/dm3

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランタン」の意味・わかりやすい解説

ランタン
lanthanum

元素記号 La ,原子番号 57,原子量 138.9055。周期表3族の希土類元素で,ランタノイド元素の1つ。おもな鉱石にはモナズ石,灰重石,セル石などがある。地殻存在量 30ppm,海水中の存在量 0.02μg/l で,希土類元素中ではセリウムに次いで豊富な元素である。 1839年スウェーデンの化学者 C.モサンデルによりセリウムの酸化物中から発見され,ランタンと命名された。「隠された」という意味である。単体はスズ白色金属で,融点 810℃,比重 6.17。かなり活性で,熱水を分解して水素を発生させ,また容易に鉱酸と反応して溶ける。酸化数3。発火合金の成分として使用され,またガラス成分として用いられる。

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