水部(読み)もいとりべ

精選版 日本国語大辞典 「水部」の意味・読み・例文・類語

もいとり‐べもひとり‥【水部】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制以前、供御(くご)飲料水のことなどをつかさどった部(べ)
    1. [初出の実例]「水部(もひとりべ)をして新に清井を堀らしめしに」(出典常陸風土記(717‐724頃)茨城)
  3. 令制で、主水司(もいとりのつかさ)に属し、水戸を率いる伴(とも)宮中の水を用意し、朝儀・仏事の時の水・粥を準備する。定員四〇人。また、春宮坊主漿署斎宮寮の水部司(もいとりのつかさ)にも置かれた。令制以前の部民の遺制とみられる。〔令義解(718)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の水部の言及

【部民】より

…その上部に官人の統率者としての臣(おみ)・連(むらじ)・伴造(とものみやつこ)という階層,その下に実務を担当する百八十部(ももあまりやそのとも),そして各職務に応じ生産・貢納に従う品部(しなべ∥しなじなのとも)という,上下の統属関係にもとづくピラミッド型の官司制を成立させたと考えられる。 まず伴として,畿内の中小豪族を任ずる殿部(とのもり)(天皇の乗輿,宮殿の調度,灯火をつかさどる),水部(もいとり)(供御の清水や氷をつかさどる),掃部(かにもり)(殿内の掃除をつかさどる),門部(かどもり∥かどべ)(宮殿の諸門の守衛をつかさどる),蔵部(くらひと)(内蔵,大蔵の出納をつかさどる),物部(もののべ)・佐伯部(さえきべ)(軍事・警察,刑罰をつかさどる)などがあった。部として,畿内やその周辺に居住する帰化氏族,その他を任ずる錦織部(にしこり∥にしごりべ)(絹織物の生産に従う),衣縫部(きぬぬい∥きぬぬいべ)(衣服の縫製に従う),鍛冶部(かぬち∥かぬちべ)(鉄と兵器の生産に従う),陶作部(すえつくり∥すえつくりべ)(陶器の製作に従う),鞍作部(くらつくり∥くらつくりべ)(馬具の製作に従う),馬飼部(うまかい∥うまかいべ)(馬の飼育に従う)などがあった。…

※「水部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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