皇太子の付属職司。和訓は,《和名抄》によると〈みこのみやのつかさ〉。《日本書紀》持統11年(697)の春宮大夫・亮の任命記事が,春宮坊職員の初見で,これは浄御原令の規定によるものと考えられる。ついで大宝・養老令に春宮坊の組織が定められた。養老令の東宮職員令によると,長官は皇太子への上啓や令旨の下達などをつかさどる大夫で,次官は亮,判官は大・少進,主典は大・少属であり,大夫の官位相当は従四位下である。春宮坊の下には,東宮舎人(とねり)を監する舎人監,食膳のことをつかさどる主膳監,財物を管理する主蔵監の3監(げん)と,主殿,主書,主漿,主工,主兵,主馬の6署(じよ)があり,皇太子の家政をつかさどった。これら3監・6署のうち807年(大同2)に主漿署が主膳監に,主書・主兵署が主蔵監に併合されるなどの変遷があり,《延喜式》春宮式には,春宮坊の被官としては主膳監・主殿署の1監・1署が挙げられているにすぎない。
→東宮
執筆者:柳 雄太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「みこのみやのつかさ」とも。皇太子の宮の家政機関の中心組織。坊は唐制の左右春坊による。令制では,舎人(とねり)・主膳・主蔵の3監(げん)と,主殿・主書・主漿(しゅしょう)・主工・主兵・主馬(しゅめ)の6署を管轄。その後の統廃合により「延喜式」では主膳監・主殿署のみ統轄。職員構成は令制では大夫(従四位下)1人・亮(すけ)1人・大進1人・少進2人・大属1人・少属2人・使部(しぶ)30人・直丁(じきちょう)3人。平安時代に坊掌2人・史生4人が追加され,また蔵人(くろうど)・非蔵人・雑色(ぞうしき)・出納・女蔵人・宣旨などがおかれた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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