春宮坊(読み)トウグウボウ

デジタル大辞泉 「春宮坊」の意味・読み・例文・類語

とうぐう‐ぼう〔‐バウ〕【春宮坊】

律令制以後明治維新まで、皇太子に関する事務をつかさどった役所みこのみやのつかさ。
[補説]「東宮坊」とも書く。

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精選版 日本国語大辞典 「春宮坊」の意味・読み・例文・類語

とうぐう‐ぼう‥バウ【春宮坊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制以後明治維新に至るまで、東宮に関するすべての事務をつかさどった役所。大夫(だいぶ)・亮・大少の進・大少の属などの職員を置く。みこのみやのつかさ。
    1. [初出の実例]「春宮坊〈管監三。署六〉」(出典令義解(718)東宮職員)
  3. 明治二年(一八六九)七月に設けた、皇太子に関する事務をつかさどった役所。その職員に、傅・大夫・学士・亮・大少の進・大少の属・史生・坊掌・使部があった。同五年正月廃止。

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改訂新版 世界大百科事典 「春宮坊」の意味・わかりやすい解説

春宮坊 (とうぐうぼう)

皇太子の付属職司。和訓は,《和名抄》によると〈みこのみやのつかさ〉。《日本書紀》持統11年(697)の春宮大夫・亮の任命記事が,春宮坊職員の初見で,これは浄御原令の規定によるものと考えられる。ついで大宝・養老令に春宮坊の組織が定められた。養老令の東宮職員令によると,長官は皇太子への上啓や令旨下達などをつかさどる大夫で,次官は亮,判官は大・少進,主典は大・少属であり,大夫の官位相当は従四位下である。春宮坊の下には,東宮舎人(とねり)を監する舎人監,食膳のことをつかさどる主膳監,財物を管理する主蔵監の3監(げん)と,主殿,主書,主漿,主工,主兵,主馬の6署(じよ)があり,皇太子の家政をつかさどった。これら3監・6署のうち807年(大同2)に主漿署主膳監に,主書・主兵署が主蔵監に併合されるなどの変遷があり,《延喜式》春宮式には,春宮坊の被官としては主膳監・主殿署の1監・1署が挙げられているにすぎない。
東宮
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「春宮坊」の解説

春宮坊
とうぐうぼう

「みこのみやのつかさ」とも。皇太子の宮の家政機関の中心組織。坊は唐制の左右春坊による。令制では,舎人(とねり)・主膳・主蔵の3監(げん)と,主殿・主書・主漿(しゅしょう)・主工・主兵・主馬(しゅめ)の6署を管轄。その後の統廃合により「延喜式」では主膳監・主殿署のみ統轄。職員構成は令制では大夫(従四位下)1人・亮(すけ)1人・大進1人・少進2人・大属1人・少属2人・使部(しぶ)30人・直丁(じきちょう)3人。平安時代に坊掌2人・史生4人が追加され,また蔵人(くろうど)・非蔵人・雑色(ぞうしき)・出納・女蔵人・宣旨などがおかれた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春宮坊」の意味・わかりやすい解説

春宮坊
とうぐうぼう

皇太子 (→春宮 ) に奉仕した官司。「東宮坊」とも書く。大夫 (長官) ,亮 (次官) 以下の職員のほかに,傅 (皇太子補佐役) 1人,学士2人が任じられた。江戸時代末期まで令制の規定のまま存続。明治維新後,令制とほぼ同じものが設置されたが,明治5 (1872) 年廃官。以後東宮職が設置された。

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