最新 地学事典 「水銀鉱床」の解説
すいぎんこうしょう
水銀鉱床
mercury deposit
Hgを主な稼行対象とする鉱床。おもな水銀鉱物は辰砂,他に自然水銀・シュワツァイト(schwatzite:Hgを17%まで含む安四面銅鉱)・黒辰砂・リビングストン鉱等。脈状鉱・鉱染鉱が板状・レンズ状・鉱筒状・漏斗状鉱体をなす。黄鉄鉱・白鉄鉱・輝安鉱・鶏冠石・雄黄・硫砒鉄鉱などを伴う。脈石は主に石英・方解石・玉髄で,オパール・重晶石・石膏・蛍石・沸石・瀝青質物・粘土鉱物等を伴う。生成深度は浅く0~400m程度,生成温度も低く50~250℃。上昇熱水鉱液の希釈・酸化沸騰により水銀鉱物が沈殿。主産国はスペイン・中国・ロシア・メキシコ。鉱床は新生代褶曲帯に多く,中生代・古生代褶曲帯や楯状地には少ない。特に環太平洋地帯(北米コルディレラ山系)・地中海-ヒマラヤ地帯に多い。風化作用に強く重い辰砂(比重8.1)は砂鉱床をつくるが,大規模なものはない。日本の代表的鉱床はイトムカ・竜昇殿・大和鉱床などで,中新世中期に前弧火成帯で生成。
執筆者:岸本 文男・鹿園 直建
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

