池田湊(読み)いけだみなと

日本歴史地名大系 「池田湊」の解説

池田湊
いけだみなと

[現在地名]新宮市池田一丁目

熊野川河口近く、蓬莱ほうらい山の西にある池田に築かれていた湊で、廻船業に関係する者が多く住んでいた。「紀伊名所図会」は「戸数凡そ百四五十軒なるも、すべて廻船の船夫其の他江戸積の製板に従ふ木挽を業とするもの等多く居住するがため、町並大によし」と記す。

元禄五年(一六九二)の川口之衆議(新宮木材協同組合蔵)によれば、船舶出入りの時は船頭立会いのもとに籤引で順番を決めたという。出入りの際は川太郎という水先案内人が船を誘導したが、河口は水路が複雑で座礁したり難破する船が多かった。文化一一年(一八一四)念仏行者徳本は遭難者供養のため熊野川河口に六字名号碑を建立したが、文政七年(一八二四)廻船業者らが名号碑の裏面に水神大王の名を刻んで、さらに水難防止の祈願をしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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