改訂新版 世界大百科事典 「決定往生集」の意味・わかりやすい解説 決定往生集 (けつじょうおうじょうしゅう) 平安末期の仏書。東大寺三論宗の僧珍海の撰。1142年(康治1)完成。珍海は本書の冒頭で,自分をはじめ称名念仏による往生に確信のない人々のため,文理をたずね考え,その疑いを晴らし〈決定往生〉の確信を得ようと述べており,本書著述の動機と書名の由来をうかがうことができる。本書は,平安末期の南都浄土教学を代表するもので,ことに称名念仏が往生の正因である理由を善導の《観経疏》就行立信条に求めた点,同じ三論宗の永観(ようかん)《往生拾因》とともに,後の法然の専修念仏説形成に少なからぬ影響を与えたと思われる。執筆者:速水 侑 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by