日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖口役所」の意味・わかりやすい解説
沖口役所
おきのくちやくしょ
松前藩が、旅人、諸物資、船舶の出入を管理し、徴税を行うために、松前、箱館(はこだて)、江差(えさし)の3港に設けていた役所。沖口番所といった時期もあったが、松前藩復領(1821)以後、改称。藩領への出入りを規制する機構は諸藩で設けているが、蝦夷地(えぞち)交易の独占を藩存立の基盤とする松前藩では、中核的機構として位置づけていた。商品流通の窓口を独占する特権を与えた問屋商人に、徴税など重要部門を代行させ、この制度に組み込んでいる点も特徴的であった。1630年(寛永7)松前の沖口奉行(ぶぎょう)の任命が知られるが、正確な創設時期は不明。箱館では亀田番所、江差では檜山(ひやま)番所が沖口業務を担当していた時期もあった。
[田端 宏]
『『松前町史 史料編 第3巻』(1979・松前町)』