注・灌(読み)そそぐ

精選版 日本国語大辞典 「注・灌」の意味・読み・例文・類語

そそ・ぐ【注・灌】

[1] 〘自ガ五(四)〙 (古くは「そそく」)
① 音をたてて水が流れる。
書紀(720)応神二二年九月(北野本訓)「芳(かうば)しき草薈(も)く蔚(も)し、長瀾(たかきなみ)(ソソキ)(なが)れ」
② 雨、雪などが間断なく降る。
※霊異記(810‐824)上「堯雲更に靄(くも)り、舜雨還(また)(ソソク)〈興福寺本訓釈 霈 曾々久〉」
液体がさかんに物の上にふりかかる。特に、涙がさかんに落ちる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※新古今(1205)夏・二一五「声はして雲路にむせぶ郭公なみだやそそく宵のむら雨〈式子内親王〉」
④ 水が流れ込む。流れてはいる。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「谿潤浚瀬ありて飛ひ流れて四むに注(ソソ)く」
視線などが、あるものの上に集中される。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一「少女の眼も亦客に注ぎ」
[2] 〘他ガ五(四)〙 (古くは「そそく」)
① 上にかける。ふりかける。流しかける。
万葉(8C後)五・八九七「痛き瘡(きず)には 鹹塩(からしほ)を 灌(そそく)ちふが如く」
※宇治拾遺(1221頃)一三「散杖をとりて、香水にさしひたして、四方にそそく」
② 器などに、液体をつぎこむ。流しこむ。
曾我物語(南北朝頃)一〇「薬など口にそそき養生しければ」
③ 水を引いて流し入れる。
※中華若木詩抄(1520頃)下「溝を十文字にほりて、井より水をそそくに」
④ (目・心などを)その方へ向ける。集中する。
小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下「作者たるものかりそめにも此理に心を注(ソソ)がずして其人物を造作せば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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