新撰字鏡(読み)シンセンジキョウ

デジタル大辞泉 「新撰字鏡」の意味・読み・例文・類語

しんせんじきょう〔シンセンジキヤウ〕【新撰字鏡】

平安時代の漢和字書。12巻。昌住しょうじゅう著。昌泰年間(898~901)に成立漢字2万余字をつくりなどによって160部に分け、字音字義和訓を付したもの。現存する最古の漢和字書。

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精選版 日本国語大辞典 「新撰字鏡」の意味・読み・例文・類語

しんせんじきょう‥ジキャウ【新撰字鏡】

  1. 平安前期の漢和辞書。一二巻。昌住著。昌泰年間(八九八‐九〇一)頃の成立。完本と抄録本とがある。漢字約二万一三〇〇を偏・旁などによって分類・排列し、字音・意義・和訓を記したもの。現存する日本最古の漢和辞書として資料価値が高い。

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改訂新版 世界大百科事典 「新撰字鏡」の意味・わかりやすい解説

新撰字鏡 (しんせんじきょう)

昌泰年間(898-901)に昌住(しようじゆう)が著した漢和辞書。全12巻。漢字2万余を,偏(へん),旁(つくり)などにより,160部首に分類して収め,発音意味しるし,約3000の和訓もつけてあり,和訓を有する辞書としては現存最古のものである。完本としては天治本があり,またこれと別種の抄録本があるが,天治本も,これに抄録本との校異を加えたものも,ともに複製刊行されている。古代文献の解読,古代国語の研究に不可欠の書である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新撰字鏡」の意味・わかりやすい解説

新撰字鏡
しんせんじきょう

漢和辞書。12巻。昌住(しょうじゅう)撰。892年(寛平4)に草案成立後、さらに加筆して昌泰(しょうたい)年間(898~901)に現存の12巻に増補改編された。部首別に漢字を掲出して、字音注を施し、漢文で意味を記し、万葉仮名で和訓を付す。漢和辞書としてはわが国最古のものである。部首の配列は、現行とは異なり、天部、日部、月部などという中国の類書などと同じである。掲出字は約2万1000で、そのうち1万6300余字は偏旁(へんぼう)によって分類し、同じ部首内を四声によって分けている部分もある。和訓が約3700条にみえ、和音も70ほど記されている。奈良時代語のおもかげを伝える語彙(ごい)が多く、上代特殊仮名遣い崩壊後も本書にはコの甲乙2類が保たれている。

[沖森卓也]

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百科事典マイペディア 「新撰字鏡」の意味・わかりやすい解説

新撰字鏡【しんせんじきょう】

平安時代の漢和辞書。12巻。昌泰年間(898年―901年)に成立。僧昌住(伝不詳)撰。漢字を,字形によって160の部首に分類して標出し,漢文で発音・意味を注し,万葉仮名で和訓を加える。和訓を有する辞書としては現存最古のもの。所収漢字約2万1300,和訓約3000。国語史学,書誌学上重要。
→関連項目漢和辞典村田春海

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新撰字鏡」の意味・わかりやすい解説

新撰字鏡
しんせんじきょう

昌住 (しょうじゅう) 撰の 12巻から成る漢和辞書。 10世紀初頭頃の成立。漢字を部首で分類し,その発音,意味,和訓 (万葉がなによる) をつける。その注記は,『玉編』『切韻』『一切経音義』などから多くひき,古代の文献書誌研究,字音研究などの資料となる。また和訓を含む現存最古の辞書で,その数は 3000をこえ,上代語・平安時代初期の国語の研究に欠かせない文献となっている。特に「コ」のかなが甲乙の使い分けを保持している点が目立つ。なお,ほかに3巻から成る抄録本がある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「新撰字鏡」の解説

新撰字鏡
しんせんじきょう

平安前期の代表的な漢和古辞書。字形引辞書の体裁をとる。昌住(しょうじゅう)撰。892年(寛平4)に草案3巻がなり,昌泰年中(898~901)中国の辞書によって大幅な増補が行われ12巻本となった。漢字2万1300字を偏と旁(つくり)とによって分類し,発音・意味を注している。一部に万葉仮名による和訓も付される。「玉篇」「切韻」「楊氏漢語抄」「弁色立成」などの古辞書の逸文や異体字を多く含み,また当時の通用の字音を知りうる点でも貴重な史料。「群書類従」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「新撰字鏡」の解説

新撰字鏡
しんせんじきょう

平安初期,現存最古の漢和辞典
9世紀末成立。12巻。僧昌住 (しようじゆう) の著。漢字を偏と冠によって分類し,2万480余字に発音と意味を記している。古代国語研究・文献解読の貴重な資料。

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世界大百科事典(旧版)内の新撰字鏡の言及

【国字】より

…江戸時代までに実用された国字で,一般人の目にも触れたのは,《節用集》の末書や往来の付録に見えるものから考えると,さして多くはなく,新井白石《同文通考》,伴直方(ばんなおかた)《国字考》などで学者の集成して論じたものを総計しても,150種にみたない。しかし平安時代前期の漢字字書《新撰字鏡(しんせんじきよう)》の挙げる小学篇字約400が,古い国字の例だといわれ,これには魚の名や植物の名にあたるものが多い。【山田 俊雄】。…

【辞書】より

…菅原是善(これよし)(道真の父)の《東宮切韻(とうぐうせついん)》は847‐850年(承和14‐嘉祥3)の間に成立したといわれ,中国の14種の《切韻》を集成し,漢字を韻によって分類し,その音や意味をしるし,和訓はないようであるが,これも原本は散逸した。つづいて出たのが《新撰字鏡(しんせんじきよう)》12巻で,僧昌住の著,昌泰年間(898‐901)に増補が成立した。漢字を字形によって偏旁に分類したものであるが,漢文の注のあとに,万葉仮名で和訓を書き添えてある点は現存する最古のものである。…

【図書館】より

…875年(貞観17),宮廷の文庫冷泉院の焼失を機に反省がおこり,中国から渡来した本を確認するため宇多天皇の命で藤原佐世(すけよ)撰述による《日本国見在書目録(にほんこくげんざいしよもくろく)》がつくられる。さらに日中文化の接触にはまず漢字書(辞書)が必要だとされ昌住による《新撰字鏡》が成立する。このような気運のもとで,多くの図書を集め多くの人の閲覧に供するという狭義での図書館も誕生することになった。…

※「新撰字鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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