朝日日本歴史人物事典 「津村淙庵」の解説
津村淙庵
生年:元文1(1736)
江戸中期の和学者,随筆家。名は正恭,三郎兵衛と称した。藍川は別号。江戸伝馬町商家の次男,兄が夭折し家督を継ぐ。幼少より好学で宝暦12(1762)年以降成島錦江に師事。錦江没後,その歌集を錦江の子竜洲と編集した。学問は和学に重きをなし抄録を主としたが,『阿古屋之松』や『雪のふる道』など数種の紀行をものしている。随筆『譚海』(写本,15巻,1795年跋『日本庶民生活史料集成』8巻)は20年間書き留めた見聞録であり,天明,寛政時代の世相や流行を知るのに至便。『片玉集』(写本,3編249冊,宮内庁書陵部蔵)は,平安時代から江戸中期までの主に和文学980点を収録した一大叢書である。<参考文献>森銑三「津村淙庵」(『森銑三著作集』7巻)
(ロバート・キャンベル)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報