改訂新版 世界大百科事典 「流向流速計」の意味・わかりやすい解説
流向・流速計 (りゅうこうりゅうそくけい)
current meter
海流の流向・流速を測定する測器。従来スウェーデンのエクマンG.Ekmanが1926年に考案した水流によりプロペラを回転させる機械式の流速計などを使用して船上から観測が行われてきた。60年代に流向・流速・水温などを時間の関数として記録する機種が各国で開発され,これと記録計,電源などを耐圧容器に収め耐圧浮力材と錨を用いて深海に係留し,長期間連続観測が行えるようになった。測定データは水上にブイをおきそこから無線で送るか,水中の機器に記録し,錨を切り離して浮上させて回収する。流速の大きさはローター(回転子)で検出し,流向は磁気コンパスを用いる。超音波流速計,電磁流速計も採用されている。内蔵記録の方式は,磁気テープ,半導体記憶素子などがある。データ容量に制限があり1時間ごとの計測値しか記録できないことが多い。そのため数多くの計測値から流速の東西・南北成分を演算する(ベクトル平均)機種も開発されている。
執筆者:平 啓介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報