消耗戦略(読み)しょうもうせんりゃく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「消耗戦略」の意味・わかりやすい解説

消耗戦略
しょうもうせんりゃく

戦争作戦術の一つ。両敵対国 (陣営) が相手の単に純粋な意味における軍事力の消耗だけでなく,工業生産施設の破壊から国民の意識の面にまで及ぶいわゆる心理戦争によって,戦争能力そのものの消耗,剥奪を意図した戦術。消耗戦という用語が現実的意味をもってきたのは,第1次世界大戦を境として国家戦争がいわゆる内閣戦争から総力戦へと転換してからである。総力戦になれば,単に前線における個々の勝敗よりも,人的物的な総資源を投入して戦力化し,最終的な勝利を得なければならない。

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世界大百科事典(旧版)内の消耗戦略の言及

【戦略・戦術】より

… 18世紀のフリードリヒ大王の時代は傭兵によっていたため,財政負担が大きく,兵力の損耗を極力避けなければならなかった。そのため,戦争においては,決戦をさけ,消耗戦略によってその目的を達成することにつとめた。18世紀末のフランス革命は,〈祖国は危機にせり〉の檄に呼応した志願兵の愛国心に基づいて,初めて国民軍隊を生む契機となり,そのための軍制,とりわけ徴兵制度を創り出すこととなった。…

※「消耗戦略」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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