コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

総力戦 そうりょくせんtotal war

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

総力戦
そうりょくせん
total war

国家の総力を結集した戦争。現代の戦争にあっては単に軍隊が戦うだけでなく,交戦国は互いにその経済,文化,思想,宣伝などあらゆる部門を戦争目的のために再編し,国民生活を統制して国家の総力を戦争目的に集中し,民全体が戦闘員化するにいたる。このような状況から総力戦という言葉が生れた。第1,2次世界大戦がその典型的事例である。総力戦は長期持久の消耗戦となり,国民総動員の名のもとに老人婦女子まで生産,輸送などに動員される一方,戦闘員,非戦闘員の区別なく攻撃する戦略爆撃による生産,交通の破壊が重要な手段として用いられるようになり,戦争の惨禍も極度に増大するようになった。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

そうりょく‐せん【総力戦】

国家や組織の全分野にわたる力を一つに集めて行う戦い

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

総力戦【そうりょくせん】

単に軍事力だけではなく,国の人口,資源,生産力のすべてを動員して戦われる戦争。第1次大戦以後この概念が固定した。
→関連項目第1次世界大戦

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

そうりょくせん【総力戦】

国家総力戦ともいう。総力戦は戦争形態のからみれば,20世紀の帝国主義時代における現代的国民戦争の一形態である。それは旧来の武力戦のみの戦争と異なり,武力戦を中心としつつ軍事,政治,経済,思想,文化など国家の総力をあげての激烈かつ長期にわたる過酷な戦争であり,とりわけその国の経済力と国民の政治的,思想的団結力が決定的に重要な意味をもつ戦争である。そして総力戦を戦いぬくためには,国家総力戦体制,すなわち一国のすべての国民と物的資源を有機的かつ有効に組織,統制,動員し,現代戦争を遂行するために必要な一元的戦争指導体制を樹立することが緊急の課題となる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

そうりょくせん【総力戦】

その国や団体の蔵しているあらゆる面の能力をすべて注ぎ込んで行う戦い。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

総力戦
そうりょくせん
total war

軍事力だけの戦争でなく、国家全体の人員、物質、イデオロギーを用いて行う戦争。
 1914年(大正3)8月に開始された第一次世界大戦は、それまでの戦争と比較して、戦争の形態、様相、方法、領域などの面でまったく新しい内容をもつものであった。それは大量消費、大量動員、大量破壊を特徴とし、経済、思想、精神動員を内容とする総力戦体制確立を最大課題として提起した。この総力戦体制確立を必須(ひっす)とした戦争形態を、フランス王党アクシオン・フランセーズのレオン・ドーデは総力戦という概念で要約し、1918年『総力戦』La guerre totaleを著した。総力戦概念を一般に定着させたのはドイツの将軍エーリヒ・ルーデンドルフで、1935年に『国家総力戦』Der totale Kriegを刊行し、日本陸軍にも多大の影響を与えることになった。ルーデンドルフは、第一次大戦後に生起すると予想された戦争においては、文字どおり国家および国民の物質的、精神的全能力を動員結集し、これを国家の総力として戦争に臨む必要があり、国民皆兵主義の徹底化による兵力の大量動員を前提とし、重工業の発達と技術の飛躍的進歩を基盤とする近代兵器の大量生産、大量使用を必然化するとした。そこから当然、戦争様相の激烈性、殲滅(せんめつ)性と戦争手段の大量性、機動性を招来するとした。これらルーデンドルフの所論から、総力戦準備の必要性を認識した日本陸軍は、早くも第一次大戦中から国内における総力戦体制の研究準備を開始し、その過程で総力戦体制構築の主導権を握り、政治的発言権を強めていった。
 第二次大戦は、より徹底した総力戦となり、戦争の惨禍は、第一次大戦と比較して著しく深刻となった。総力戦の徹底化による戦争の全体化は戦争終結を困難にし、さらには戦後処理を厳しいものとした。しかし、核兵器の出現によって戦争の全面化は不可能となり、総力戦という戦争形態の出現の機会は事実上終わったといえる。なお、total warを全体戦争と訳す場合もあるが、総力戦という訳のほうが一般的である。[纐纈 厚]
『纐纈厚著『総力戦体制研究』(1981・三一書房)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の総力戦の言及

【国家総動員】より

…国家の勢力下にあるいっさいの資源や機能を戦争遂行に最も有効に利用するように統制運用するための措置。帝国主義の時代にはいると戦争は強国,さらには国家群の間の大規模かつ激烈な総力戦となった。膨大な軍隊が動員され,銃砲,弾薬から軍艦,戦車,航空機など破壊力が強大で遠距離を攻撃しうる高度な兵器が大量に消費される消耗戦となり,前線のみならず軍需生産や輸送・通信等の後方勤務に人民と資材が全面的に動員された。…

【第1次世界大戦】より

…ついで16年4月24日から30日にかけて同じスイスのキーンタールで開かれた第2回目の会議では,戦況の行詰りを反映し,革命派の勢力が増大した。 高度な段階に入った資本主義時代の戦争は第一線での軍人の巧みな作戦指導によるよりも,むしろ銃後の国民による軍需生産力の総結集によって勝負の決まる総力戦である。そのため各国とも大戦の進展する中で,国民の全体を総動員する体制を組織することを急いだ。…

※「総力戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

総力戦の関連キーワードJ.ビクター コシュマンウィルヘルム グレーナ陸軍パンフレット事件ランチェスターの法則アーネスト ベビンヨゼフ ゲッベルスバンジタート主義第1次世界大戦早稲田軍教事件ルーデンドルフ国家総動員法満州国協和会佐藤 鋼次郎内閣情報局堀場 一雄田中 武雄新体制運動湯沢三千男国家総動員ゲッベルス

今日のキーワード

異常天候早期警戒情報

5日から 8日先を最初の日とする 7日間の平均気温がかなり高い,またはかなり低い確率が 30%以上と見込まれる場合に注意を呼びかけるため気象庁から発表される情報。低温や猛暑が長く続くと,人の活動や農作...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

総力戦の関連情報