朝日日本歴史人物事典 「深見有隣」の解説
深見有隣
生年:元禄4.11.5(1691.12.24)
江戸時代の幕臣,翻訳・考証学方面に優れた学者。諱は但賢,のち有隣に改める。通称は松之助,久太夫,新兵衛。隠居後は右翁と号す。長崎の人。深見家は明の出身。有隣の祖父但有は長崎の大通事で,父玄岱ともども長崎と江戸を結ぶ仕事に苦心を重ねた。有隣は儒者時代の享保6(1721)年から父と5年間かけて中国清代の総合法典『大清会典』を解読し,その功績により書物奉行に抜擢された。在職三十余年の間,徳川吉宗の時代に間断なく広汎に行われた『類聚国史』『明月記』などの校訂,『二条家日次記』書写に当たる。天文の知識にも秀で,観測所詰を命じられた。『甘蔗考』などの農業技術に関する編述もある。<参考文献>森潤三郎『紅葉山文庫と書物奉行』,石村喜英『深見玄岱の研究』
(藤實久美子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報