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儒者 ジュシャ

デジタル大辞泉の解説

じゅ‐しゃ【儒者】

儒学を修めた人。学を講じる人。儒学者。
江戸幕府の職名。若年寄に属し、将軍に儒学の経典を進講し、文学のことをつかさどった。数人いたが、林家は特別で、代々その任にあった。儒官。ずさ。

ず‐さ【者】

じゅしゃ(儒者)

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅしゃ【儒者】

本来,儒学を修め信奉する人一般をいう。また日本では,律令制度上の大学寮の教官を時にそう呼んだが,現在では,近世日本で儒学ないし儒学的教養の伝授を業とした人々を指すのが普通である。彼らは,科挙制度がなかったため政治的エリートないしその予備軍ではなく,しかも出自は多様で世俗的な,当時の中国・朝鮮にはなく日本にもそれまでなかった特殊な知識人層をなした。そして近世を通じてしだいにその数を増し,広範な儒学的教養の浸透を導き,種々の儒教思想をみずから生み,当時の思想史・文化史の重要な担い手であった。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

じゅしゃ【儒者】

儒教を研究し、その教えを説く人。儒学者。
江戸時代、幕府の職名。経典を進講し、文学をつかさどる。林氏が世襲。儒官。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

儒者
じゅしゃ

儒教とくにその経典を学びまた教える者のこと。日本の古代・中世では、明経道(みょうぎょうどう)を講学した清原氏・中原氏などの博士が儒者といえる。ただ、その際、経典は漢籍の一環として、仏僧、博士、神官など各職域・身分において学ばれ、独自の専門領域は十分に成り立ってはいなかった。そのため近世以前には、儒者の語はあまり見出せない。ただ、戦国末から江戸期になると、政治・倫理・学術など儒学の需要が高まり、中国や朝鮮の漢字文献の輸入とその生産・流通が拡大する。儒学の典籍を読み解き唱導する専門家も多く現れ始め、これが儒者と呼ばれるようになった。将軍・大名などに仕えて給与としての禄や扶持を受け取る「御儒者(おじゅしゃ)」は、林羅山(らざん)が幕府に雇用されたことに始まり、しだいに各藩に広がった。また民間でも、中江藤樹(とうじゅ)・伊藤仁斎(じんさい)など学塾や医業などを営む「町儒者(まちじゅしゃ)」が増加していった。しかし日本では、中国・朝鮮などのように科挙・祭祀が確立され地主・為政者として儒学を率先する担い手となる体制は成立せず、儒者は政治周辺の存在となり生活基盤も弱かった。とはいえ、漢学者として経典を自由に選択する傾向も強く、そこから他のテキストに向かい、のちに国学・蘭学・兵学と称される諸学への転換も拡大した。[黒住 真]
『渡辺浩著「儒者・読書人・両班―儒学的『教養人』の存在形態」(『東アジアの王権と思想』所収・1997・東京大学出版会) ▽黒住真著「儒学と近世日本社会」(『近世日本社会と儒教』所収・2003・ぺりかん社)』

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世界大百科事典内の儒者の言及

【漢詩文】より

…室町時代後半には五山僧の文学創作欲は衰え,代わって中国儒典の研究熱をたかめ,この方面の学者,たとえば桂庵玄樹(けいあんげんじゆ),文之玄昌(ぶんしげんしよう)(南浦)などが,かたわら詩文を製した。このような流れにつづいて,江戸時代の儒学は多く五山より発生したので,江戸時代儒者の作る漢詩文は,その初期の人たる藤原惺窩(相国寺の禅僧文華宗蕣),林羅山(建仁寺に学んだ)などの作品にみられるように,五山文学そのままの趣があった。 中世には五山文学以外に搢紳(しんしん)公卿の作品もあった。…

【近世社会】より

…そこには純粋な信仰に燃え,領主の権力を無視して,仏に帰依するといった側面は存在しなくなる。 儒者には,医者などとともに出自を浪人,庶民層にもつものが少なくなく,また藩に仕えても一領主に一生仕えるのではない面があった。身分制社会のなかで,ある程度の自由さをもち,その教授は武士層をこえて庶民にも及んだ。…

※「儒者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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