満穂新田（読み）みつほしんでん

日本歴史地名大系

満穂新田
みつほしんでん

• 徳島県：板野郡
• 松茂町
• 満穂新田

[現在地名]松茂町満穂・豊久（とよひさ）

笹木野（ささぎの）村・中喜来（なかぎらい）浦の東方にあり、北は豊久新田、西は住吉（すみよし）新田、南は豊岡（とよおか）新田、東は海（紀伊水道）に臨む。早淵（はやぶち）新田ともよばれた（郡村誌）。当地域は一八世紀末まで吉野川広戸（ひろと）口（現旧吉野川）と吉野川今切（いまぎれ）口（現今切川）の間に横たわる広大な潟湖や湿地（約二六〇町歩）で、この当時に描かれたと考えられる笹木野新田用水絵図（蜂須賀家文書）には、一面の潟湖とそれを取囲む自然堤防・萱野が描かれている。享和元年（一八〇一）三月、宮島（みやじま）浦（現徳島市）の大藍師坂東茂八郎の別家である坂東茂兵衛は、徳島藩に冥加金一五〇両を上納し、当地を干拓する権利を得た（「豊岡新田下札」松茂町誌）。茂兵衛は湿地の南半分（約一一〇町歩）の干拓に着手し、豊岡新田を開発したが、残る北半分（約一五〇町歩）は文化四年（一八〇七）に名東（みようどう）郡早淵村（現徳島市）の商人後藤善右衛門と徳島城下新（しん）町の商人阿部豊吉に権利を譲渡した（「豊久新田下札」同書）。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」