朝日日本歴史人物事典 「源顕兼」の解説
源顕兼
生年:永暦1(1160)
鎌倉前期の説話集編者。父は源宗雅,母は石清水八幡別当光清の娘。建仁3(1203)年父の譲りにより刑部卿,承元2(1208)年従三位。建暦1(1211)年出家。『中外抄』を書写し,『明月記』によると「家の秘事」を披露するなど,故実に通じ,また射手や舞人を務め,諸芸に堪能な一面もある。和歌は正治2(1200)年「石清水若宮歌合」に参加,建仁1(1201)年後鳥羽院の和歌試「十首歌会」に詠進している(及第しなかったか)。出家後,故事に関する説話を集めて部類分けした『古事談』を編纂,先行文献から抄出する切り口に独自性がある。藤原定家と親しく,また『隆信集』に贈答歌が載る。『新勅撰集』に1首入集。
(今村みゑ子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報