日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブサロン」の意味・わかりやすい解説
アブサロン
あぶさろん
Absalon
(1128―1201)
デンマークの大司教。デンマークのもっとも有力な貴族ビゼ家の一員として、シェラン島のフェネスレウに生まれ、幼年時代はバルデマー(後の1世、大王)とともに養育された。1146年神学習得のためパリに赴き、帰国直後の1157年ロスキレ司教に選出された。1160年代、ルンド大司教エスキルEskil(1100ころ―1181)とバルデマー1世との対立では調停役として活躍、1177年ルンド大司教に就任、1191年にロスキレ司教が選出されるまで、デンマーク教会の重要な二つの地位を兼任し、聖俗両界に重きをなした。1150~1160年代ウェンデン遠征を行い、北ドイツやバルト海方面への勢力拡張に成功、デンマークのバルト海政策の基礎を築いた。修道院や教会の建設に力を注ぎ、国王と教会との提携にも努力した。コペンハーゲンの建設(1167)でも有名である。
[牧野正憲 2017年11月17日]