家庭医学館 「溝舌」の解説
こうぜつこうじょうぜつひだじた【溝舌(溝状舌/ひだ舌) Fissured Tongue】
舌の表面に、多数の亀裂(きれつ)や溝が生じている状態で、地図状舌(ちずじょうぜつ)とよく合併します。
その形が陰嚢(いんのう)に似ていることから、外国では、陰嚢舌と呼ばれることもあります。
溝の深さ、幅、長さ、数などはさまざまですが、舌の中央を縦に走る溝からおおよそ左右対称的に生じるのが特徴です。
原因は不明ですが、遺伝的な要素の関与も推察されています。
子どもや若い人には通常みられず、年齢がすすむにつれて出現頻度が高くなり、老人に多くみられます。男女による差はみられません。
反復する顔面表情筋の運動まひ(顔面神経まひ)をおこすメルカーソン・ローゼンタール症候群(「メルカーソン・ローゼンタール症候群」)という原因不明の病気がありますが、顔面・くちびるの浮腫(ふしゅ)(むくみ)とならんで、溝舌は、この病気の重要な症状の1つです。
[症状]
通常、自覚症状はありませんが、溝に細菌や真菌(しんきん)が感染したり、あるいは食物の刺激などによって炎症をおこしたりすると、軽い疼痛(とうつう)(痛み)や味覚障害がおこることがあります。
ふつうは、うがいなどで口の中を清潔にする以外に、特別な治療を行なう必要はありません。