溺ほる(読み)オボホル

デジタル大辞泉 「溺ほる」の意味・読み・例文・類語

おぼほ・る【溺ほる】

[動ラ下二]
水中に沈む。転じて、おぼれる。
「俊蔭は、激しき浪風に―・れ、知らぬ国に放たれしかど」〈絵合
涙にむせぶ。
「涙に―・れて」〈浜松・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「溺ほる」の意味・読み・例文・類語

おぼほ・る【溺・惚】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 「おぼる(溺)」の古形 ) 水などにおおい包まれるというのが原義で、そこから物事に夢中になるという意が派生した。
  2. 水中に沈む。
    1. [初出の実例]「潮大きに溢(み)ちて、兄自(みづか)ら投溺(オホホル)」(出典:日本書紀(720)神代下(水戸本訓))
  3. ( 「涙におぼほる」の形で ) 涙にむせぶ。涙にぬれる。
    1. [初出の実例]「さらばよと別れし時にいはませば我も涙におぼほれなまし〈伊勢〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)離別・一三四一)
  4. 物事に夢中になって、本心を失う。放心する。ぼんやりする。ぼうっとする。
    1. [初出の実例]「御霊(みたま)など見るにも、例のつきせぬことにおぼほれてぞはてにける」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  5. もっぱらそればかりする。ふける。はまる。
    1. [初出の実例]「酒に(オホほ)れたる人を招き誘(たぼろか)して」(出典:地蔵十輪経‐元慶七年点(883)三)

おもほ・る【溺】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 おぼれる。涙にくれる。おぼほる。
    1. [初出の実例]「あたらしう、くちをしく、涙におもほれまどひながらも」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)一)

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